2016/01/29

「エシカルケータイ」について考える ~企業と私たちの役割~


 “自由意志が存在するのか”

最近、この議論にのめり込みすぎて、課題はおろか他のこともままならない(笑)、アムネスティユースネット、ICU大学2年のじゅんです。

昨年末、国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」主催、そしてアムネスティ日本もメンバーである、エシカルケータイキャンペーン実行委員会の協力のもと開催されたシンポジウム「エシカルケータイの作り方」に、ユースメンバー2人が参加してきました。
写真:当日の会場の様子
とても興味深い内容だったので、今日はその報告をします。
(ぼくも参加したかったのですが、体調を崩していて、行けませんでした・・・泣)


シンポジウム「エシカルケータイの作り方」より エシカル携帯とは…?

1. 「フェア」な携帯はどこが違う? 
講師:安田幸弘さん(テクニカルライター)

電子製品の小型化が進むと、部品がより小さく、構造も複雑になり、使う人が自分で修理することができなくなります。部品を小型にしても性能が変わらない特別な材料として、希少な鉱物が使われるようになります。製造過程では有害物質も使用するため、健康被害が起きることもあります。

スマホは電子製品の小型化の技術の集大成といえます。昔の電化製品のように修理することは不可能で、壊れたら交換する必要があります。フェアフォンとは、こうした問題に考慮し、部品交換が可能なケータイのことです。

2. 「FAIRPHONE」-そのコンセプトと今後- 
講師:ムーラン・ムーさん(FAIRPHONE蘇州事務所プロジェクトマネージャー)

FAIRPHONEはオランダの企業で、“フェアなケータイを作ろう”という社会運動をきっかけに設立されました。利益追求よりも、企業が社会に与える影響を重要視しています。

「私たちが考えなしにケータイを使用することで、鉱物を採掘する人びとや地元住民への人権侵害環境破壊に繋がっている」ということを、ビジネスを通して広く伝え、人びとの意識を高めようとしています。

紛争地域で産出される鉱物や資源を購入すると、その資金が鉱山を支配し、紛争の当事者である武装グループの手に渡ってしまいます。武装グループは得られた資金で軍備を進め、さらに多くの人の命を奪い、子どもを兵士として徴用するなど、紛争の悪化や長期化に繋がります。

FAIRPHONEは、人権侵害を助長するのではなく、地域住民の暮らしを支えるような調達と製造、販売を心がけています。商品は長持ちし、ユーザーが修理できるようなデザインにしています。使われている材料と価格の内訳をきちんと明記し、廃棄物が少なくリサイクル可能なものを目指しています。

製造過程では、労働者の人権、環境の持続可能性などを、監査だけではなく、しっかり評価しています。消費者としてこうした商品を買うことは、「フェアなケータイを使おう」という社会運動を支持することを意味します。
写真:フェアフォンについて説明するムーさん
フェアフォンの写真です。
カバー・本体・バッテリーに分けて、簡単に中身を見ることができます。
写真:フェアフォン
3.コンゴ民主共和国における採掘の状況とフェアフォンの意義
講師:田中滋さん(エシカルケータイキャンペーン/アジア太平洋資料センター)

鉱物資源が武装勢力の資金源となって、紛争が長引いている国の一つに、コンゴ民主共和国(DRC)が挙げられます。首都キンシャサから遠い東部には、ケータイに使われる鉱物タンタルが大量に埋まっています。資源争奪が紛争の火種となって、多くの人びとが犠牲となり、ゴリラなどの野生動物にも影響が及んでいます。

人権侵害や環境破壊に加担しないよう、調達過程を透明化するために、スズを扱う団体「ITRI」はトラッキングタグを使って、鉱物を掘った人までたどることができるようにしています。しかし、鉱物価格が低下しているため、鉱山で働く人びとの生活は厳しいままです。

ヨーロッパでは、ボイコットではなく、フェアフォンを買うことで支援するという消費者が増えてきています。商品の透明性を高めることは当然であり、原料から製品となり消費者に届くまでに関わっている人びとの生活向上に、どれだけ企業や消費者が貢献できるかということが重要です。
写真:当日の配布資料
*エシカル携帯について、もっと知りたい方はこちらへ:参考「エシカルケイタイキャンペーン」


話を聞いて、考えさせられたこと。 ~まりこ、りさ、じゅん~

まりこ

青学生なのにキラキラてないので、女子力が欲しいまりこです!

コンゴの紛争鉱物については以前から知っていましたが、てっきり今では、大企業のほとんどがこの問題に配慮していると思っていました。今回のシンポジウムに参加して、多くの企業が「エシカルな鉱物・金属調達に関する公開質問状」に答えていないことを知りました。

自分が普段から使っている、某大手企業の携帯、今この記事を書くために使っているパソコン、毎日髪を整えるために使っているヘアアイロン・・・これらすべてが、紛争鉱物によって作られているかもしれない、という事実に衝撃を受けました。

普段ニュースや新聞でアフリカでの紛争、野生動物への被害を見聞きしたとき、「大変だな」「かわいそう」と単純に思っていた自分が恥ずかしくなりました。間接的ではありますが、“自分も加害者の一人である”ということに気付かされました。きっと多くの日本人がそうなのではないでしょうか。

私たちは、自分が普段の生活で使っているものが、どこの国の誰によって作られたのか、まったく分かりません。分からないからといって、事実から逃げてはいけないと思いました。そして、わからないからこそ、エシカルケータイの意味の大きさを感じました。

フェアフォンであれば、消費者は自分のケータイがどのような過程で作られていること、そして環境に最大限配慮していることがわかります。自信を持って、社会にプラスの影響を与える一員だと言えます。日本で売られていないことが残念ですが、発売される時は多くの人が、エシカルケータイを所持・利用することの意義に賛同して購入するようになればいいな、と思います。
もちろん、私も買おうと思います!


りさ

歌うことが大好きなICUのりさです♪

ディスカッションの中で、現時点でのフェアフォンは完璧ではなく、この商品を買うことによって社会運動を広め、より良くしていく段階だということを聞きました。初めから完璧なものを実現することは難しいから、できることからコツコツと、という姿勢なのだと思います。今フェアフォンが買えるのはヨーロッパだけですが、もっと賛同する人が増えて、フェアフォンもさらに「フェアで長持ちするもの」になっていってほしいです。

私がこのシンポジウムに参加したのは、フェアトレードに関心があるからです。話の中で、「ボイコットではなく製品を買うことで、支援を必要としている人びとを支える」ことの重要性を聞き、私は他のフェアトレードの問題、特にチョコレートの問題を考えさせられました。

私は今年の9月頃から、“フェアトレード商品であるチョコレートとコーヒー以外は買わない、食べない”という運動をしています。友人に紹介してもらったドキュメンタリーで、奴隷労働や人身売買の実態を知り、食べないことでアンフェアな取引やシステムを消費者として支持せず、反対の意を示したいと考えるようになったからです。

どこのカカオを使っているのか。きちんと労働者にお金が支払われているのか。これらがはっきりと分かるチョコレートは身近にほとんどありませんが、中には「買うとカカオ産地に支援のお金が送られる」というキャンペーンを打ち出しているものもあります。

このような商品でも、私は最低価格を保証し、労働者にお金が支払われていなければ・・・、と購入をためらってしまいます。今回の話を聞いて、こうしたキャンペーンにまったく参加しないよりは、したほうが支援につながると思い始めました。

私がどう行動すべきなのか、どうしたらこの状況を変えることができるのか、今は自信を持って答えることができません。前よりも、戸惑っているかもしれません。今回のシンポジウムで取り上げられていたケータイは1つの例です。私は他の問題についても、もっと学び、考えなければならないと強く感じました。


じゅん

風邪をひいて寝込んでいたため参加することはできませんでしたが、二人の話を聞いて、とても驚きました。特に、最近、エシカルケータイフェアトレードについて関心を持ち始めて、勉強していただけに、本当にショックでした。

最後になりますが、みなさん、僕がいうのもなんですが、体調には気を付けてください!体調さえ整っていれば、頭の中がすっきりし、物ごとをちゃんと考えることができます。フェアな商品を買う時には、とても重要なことです。



アムネスティ・ユースネット じゅん

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アムネスティ報告書「スマートフォンの裏に児童労働」を発表!
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写真:父親と一緒にコバルトの選別作業をする13歳の子ども
2016年1月19日、アムネスティ・インターナショナルは報告書を発表し、
アップル、サムソン、ソニーなど著名なエレクトロニクス企業の製品に、
コンゴ民主共和国での児童労働など
不当に採掘されたコバルトが使われていることを明らかにしました。
調査した鉱山では、7歳の子どもが過酷な労働環境で酷使されていました。
企業らはこの事実を認識していませんでした。


★★★ アムネスティ・ユース・ネット メンバー募集中!★★★
現在、ユースネットには、25歳以下のメンバー(主に小学生~大学生)を中心に、幅広い年代の人が参加しています。
アムネスティの活動を広げるために、メンバーの「こういうのやってみたい!」を、
みんなで実現するのが、ユースです。

年齢制限はありません。必要なものは、若い心と情熱です!
「自分はユース」と思う人がユース!

次回ミーティングは2月13日(土)16時から東京事務所で行います。
新しいユースの仲間を待っています!!!
写真:ユースメンバー
http://bit.ly/23x2dUm

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